
「どんな働き方がある?雇用形態の種類を知りたい」
「それぞれのメリット・デメリットは?」
このようにお考えではないでしょうか。
厚生労働省のさまざまな雇用形態を見ると正社員以外にも多様な働き方が存在します。
しかしながら、どんな働き方があって自分はどれが向いているのかきちんと理解していないという人も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では、働き方の種類を分類、それぞれの特徴、メリット・デメリットを分かりやすく解説しています。
本記事は、厚生労働省の資料を参考に、求人の実態を踏まえ作成しています。
雇用形態とは?


雇用形態とは、企業と従業員が締結する雇用契約の種類です。
大きく分けると以下に分類されます。
- 正社員
- 契約社員
- 派遣労働者
- パートタイム労働者
働き方の種類|雇用関係がある働き方
雇用関係がある働き方について、それぞれ詳しく説明していきます。
正社員
特徴 | ・労働契約の期間の定めがない ・直接雇用である |
厚生労働省の資料によると、正社員の定義は以下です。
常用労働者のうち、雇用期間の定めのない者であって、企業又は事業所で定められている1週間の所定労働時間で働いている、企業又は事業所で正社員・正職員として処遇されている者をいう。
引用:厚生労働省|用語の説明
厚生労働省の委託事業「多様な正社員の導入及び無期転換ルールへの対応に係る支援等事業」を見ると、従来の正社員以外にも様々な正社員がいることが分かります。
- 勤務地限定正社員
- 職務限定正社員
- 短時間正社員(勤務時間限定正社員)
- 短時間正社員(勤務時間限定正社員)
どの正社員にも共通しているのが「労働契約の期間の定めがない」「直接雇用である」の2点です。
それぞれの特徴、メリット・デメリットを詳しく紹介します。
いわゆる正社員(従来の正社員)
契約 | 直接雇用 |
特徴 | 勤務地、職務、勤務時間が限定されていない |
メリット | ・多様な正社員よりも賃金水準が高い(参照もと) |
デメリット | ・転勤の可能性がある ・部署によっては希望の仕事ができるとは限らない ・就業時間が定められている場合がある |
一般的な正社員は以下いずれも限定されていません。
- 勤務地
- 職務
- 勤務時間
勤務地限定正社員
契約 | 直接雇用 |
特徴 | ・担当する職務内容や仕事の範囲が他の業務と明確に区別され、限定されている |
メリット | ・勤務地の柔軟性が高い |
デメリット | ・企業によっては昇進・昇格の上限を設定しているケースがある |
転勤するエリアが限定されていたり、転居を伴う転勤がなかったり、あるいは転勤が一切ない正社員。
- 転勤するエリアが限定されている
- 転居を伴う転勤がない
- 転勤が一切ない
職務限定正社員
契約 | 直接雇用 |
特徴 | ・職務が限定されている |
メリット | ・希望の職種で働くことができる |
デメリット | ・企業によっては昇進・昇格の上限を設定しているケースがある |
担当する職務内容や仕事の範囲が他の業務と明確に区別され、限定されている正社員。
短時間正社員(勤務時間限定正社員)
契約 | 直接雇用 |
特徴 | ・労働時間が限定されている |
メリット | ・時間の柔軟性が高い |
デメリット | ・企業によっては昇進・昇格の上限を設定しているケースがある |
所定労働時間がフルタイムではない、あるいは残業が免除されている正社員。
契約社員(有期労働契約)
契約 | 直接雇用 |
特徴 | 雇用期間が定められている |
メリット | ・時間の柔軟性が高い |
デメリット | ・企業によっては昇進・昇格の上限を設定しているケースがある |
契約社員は、正社員と違って労働契約にあらかじめ雇用期間が定められている社員のこと。
このような期間の定めのある労働契約は、労働者と使用者の合意により契約期間を定めたものであり、契約期間の満了によって労働契約は自動的に終了することとなります。
1回当たりの契約期間の上限は一定の場合を除いて3年です。
派遣労働者
契約 | 間接雇用 |
特徴 | 指揮命令を出す派遣先と派遣労働者の間に労働契約が存在しない |
メリット | ・派遣会社のサポートを受けられる |
デメリット | ・契約期間が最長で3年間 |
派遣労働者とは、人材派遣会社(派遣元)と労働契約を結び、派遣先(派遣元が労働者派遣契約を結んでいる会社)に派遣され、派遣先の指揮命令を受けて動く働き方のことです。
労働者に賃金を支払う会社と指揮命令をする会社が異なるため、労働者派遣法(正式名称:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)において細かいルールが定められています。
法律上の雇い主はあくまで人材派遣会社です。よって事故やトラブルが起きた際は、まず人材派遣会社が責任をもって対処しなければなりません。
しかし、実際に指揮命令をしている派遣先は全く責任を負わないというのは妥当ではなく、労働者派遣法において派遣元と派遣先が責任を分担するべき事項が定められています。
参考:労働者派遣事業とは
パートタイム労働者
契約 | 直接雇用 |
特徴 | 1週間の所定労働時間が、正社員よりも短い |
メリット | ・時間の柔軟性が高い |
デメリット | ・正社員より収入が少ない場合が多い ・ボーナスがない場合が多い |
パートタイム労働者とは、1週間の所定労働時間が、同じ事業所に雇用されている正社員と比べて短い労働者をいいます(パートタイム労働法では、「短時間労働者」と呼称)。
「パートタイマー」や「アルバイト」など、呼び方は異なっても、この条件を満たせばパートタイム労働法上のパートタイム労働者となります。
パートタイム労働者を雇用する使用者は、パートタイム労働法に基づき、公正な待遇の確保や正社員への転換などに取り組むことが義務付けられています。
また、労働者を雇い入れる際、使用者は、労働条件を明示すること、特に重要な条件については文書を交付することが義務付けられていますが、パートタイム労働法では、すでに述べた5点(こちらを参照)に加え、昇給・退職手当・賞与の有無についても文書の交付などによる明示を義務づけています。
上記以外の働き方
ここまで雇用形態をもとに様々な働き方を紹介してきました。
次に、法令上の用語ではない働き方を紹介します。
自営型テレワーカー
契約 | 請負契約、準委任契約 |
特徴 | 個人事業主 |
メリット | ・時間の柔軟性が高い |
デメリット | ・労働基準法などの労働関係法令の適用なし ・確定申告を行う手間がある |
厚生労働省の資料によると、自営型テレワーカーの定義は以下です。
自営型テレワーカーは、個人事業主です。会社員とは違います。
注文者から委託を受け、情報通信機器を活用して主として自宅又は自宅に準じた自ら選択した場所において、成果物の作成又は役務の提供を行う就労
引用:自営型テレワーカーのためのハンドブック
※法人形態により行っている場合、他人を使用している場合などを除く
仕事の受発注は以下2つに分類されます。
- 仲介事業者が一度仕事を受けて、自営型テレワーカーに再発注するタイプ
- 仲介事業者が、あっせんやクラウドソーシングの提供を行うタイプ
フリーランス
契約 | 請負契約、委任契約、準委任契約 |
特徴 | 個人事業主 |
メリット | ・自分の裁量で仕事ができる |
デメリット | ・労働基準法などの労働関係法令の適用なし ・確定申告を行う手間がある |
内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省の連名で策定された「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」によると下記のように説明されています。
「フリーランス」とは法令上の用語ではなく、定義は様々であるが、本ガイドラインにおける「フリーランス」とは、実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者を指すこととする。
ギグワーカー
契約 | 雇用契約/業務委託 |
特徴 | 単発・短時間の仕事 |
メリット | ・時間の柔軟性が高い |
デメリット | ・契約によっては労働関係法令の適用がない |
ギグワーカーは、単発の仕事を請け負い個人で働く人のことを一般的にさします。
フードデリバリーやクラウドソーシングを通じた仕事の場合は業務委託がほとんどですが、単発のアルバイトなどは直雇用型の働き方も最近増えてきています。
スポットワーカー
スポットワークは、英語のSpotとWorkを合わせた造語で、雇用契約を結ぶ単発バイトを意味します。
Spotは、点・地点を意味する言葉。
詳しくは以下記事をご覧ください。
雇用形態についてよくある質問
雇用形態についてよくある質問をまとめています。
- 会社員とは?
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会社員とは、会社に雇われ働いている人のこと。
一般的に、アルバイトやパートなどの非正規雇用を含まず、正規雇用で会社に勤める人を呼びます。
- 無期転換ルールとは?
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無期転換ルールは、雇用の安定、労働意欲や職業能力の向上を目的として2013年4月1日に施行されました。
同一の使用者との間で有機労働契約が通算で5年を超えて繰り返し更新された場合は、労働者の申し込みにより、無期労働契約に転換します。
雇用区分は会社の制度によって異なるため、必ずしも正社員になるというわけではありません。
対象者:契約社員、パート、アルバイト などの名称は問われません。
- フリーランスの雇用形態は?
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発注者と業務委託契約を結ぶのが一般的です。
注文主から受けた仕事の完成に対して報酬が支払われるので、注文主の指揮命令を受けない「事業主」として扱われ、基本的には「労働者」としての保護を受けることはできません。
多様な働き方を認める社会へ
厚生労働省が掲げているように、多様な働き方を認める社会になりつつあります。しかしながら、それぞれの働き方を尊重する社会とは言い難いのではないでしょうか?
自分に合わない働き方をすると、心身ともに大きな負担となります。
本記事を読んだ方が、自分に合う働き方を見つけることができれば幸いです。